新生活を始めることになるタイミングは様々です。進学、就職、転勤、転職、結婚など…様々な要因で賃貸物件を借り、新生活を始めることになります。そして、引っ越しは何かとお金がかかるものです。
特に、はじめて一人暮らしをする方は、いったいどのくらいお金がかかるのだろう…と想像もつかないものです。ここでは新生活を始めるにあたり知っておくべき用語や必要な資金について紹介します。
実際に住み始めるまでに必要な9つの初期費用


そもそも初期費用ってどんなものがあるの?
賃貸物件を探すには、SUUMOなどの物件検索サイトやアプリを使用したり、不動産屋に訪問し、条件に合う物件を探してもらいます。
その際、物件の情報には、家賃以外にも様々な初期費用が記載されています。それらをひとつずつ解説します。
敷金(家賃0~2か月分)
物件のオーナーに支払う代金です。部屋を退去する際の原状回復(生活でできてしまった傷などを直す)費用に充てられるため、つまり帰ってくるお金になります。相場は家賃1か月分程度ですが、オーナーの設定によって異なります。
礼金(家賃0~2か月分)
物件のオーナーに支払う代金です。こちらのお金はその名の通り御礼の意味合いがあるので帰ってこないお金となります。こちらも相場は家賃1か月分程度ですが、オーナーの設定によって異なります。
前家賃(家賃0~2か月分)
家賃の前払い金です。物件によって前払い金額が異なり、日割りにされる場合もあります。または設定されない場合もあります。
仲介手数料(家賃0~1か月分)
不動産屋に支払うお金です。不動産屋によって価格が設定されます。法律により家賃1か月分の金額が上限と定められています。
火災保険料(3,000円~40,000円/年)
火災だけでなく、水漏れや風災など幅広く保証される保険が火災保険です。加入は原則任意ですが、賃貸借契約条項に火災保険の加入が必須とされる場合がほとんどであるため、実質加入必須の保険となります。
賃貸保証会社(家賃0.5~1か月分)
賃貸料金が払えなくなった場合に立替を行ってくれる保証会社との契約金です。火災保険と同様に最近は加入必須とされるケースが多いです。初期費用として、家賃0.5~1か月分が相場となります。
鍵交換費用(10,000円~30,000円)
不法侵入や盗難を防ぐセキュリティ上の目的から鍵交換を行います。入居時に負担する場合と、退去者時に負担する場合があります。鍵のセキュリティが高い(ティンプルキーなど)ほど、高額になるケースが多いです。
ハウスクリーニング(10,000円~30,000円)
清掃業者によるクリーニング費用です。入居時に負担する場合と、退去者時に負担する場合があります。
24時間安心サポート(10,000円~20,000円/年)
賃貸物件の設備のトラブル(電気、ガス、水回りなど)に対して、24時間365日相談することができるサービスです。
費用を削減できる7項目

家賃(敷金、礼金)
月々の家賃、敷金、礼金は不動産屋を介してオーナーに交渉することができます。特に引っ越し閑散期や、立地・築年数などの要因で人気の低い物件など、オーナーにとって少しでも早く借主を確保したいときは月々の家賃の減額に応じていただける可能性があります。
具体的には、不動産屋にとって閑散期となる6月~7月、11月~12月は狙い目といえます。
前家賃
前家賃を減額、もしくはフリーレントといい、その名の通り、0円に交渉することができます。上記と同様に、交渉は不動産屋を介してオーナーにおこなうことになります。
仲介手数料
仲介手数料を不動産屋に減額交渉することができます。仲介手数料は不動産屋の利益となる費用で、宅建業法第46条により家賃0.5か月分から最大1か月分の費用を設定できると決められています。

仲介手数料を家賃1か月分に設定する不動産屋が多いのはこのためなんだね。
そのため、家賃1か月分の設定をしている場合は、最大0.5か月分まで減額交渉が可能です。
火災保険料
火災保険は、特に何も断りがない場合、賃貸物件の管理会社が定めた保険に加入するケースが多いですが、20,000~40,000円と非常に高価なものになっております。
しかし、火災保険は管理会社が定めた保険に加入しなければならないという法律の決まりはないため、個人加入をしてよいか交渉することができます。
ただし、賃貸借契約に指定の火災保険に加入必須と定められている場合は、交渉できない場合があります。記載がない場合はダメもとで不動産屋に聞いてみましょう。
個人加入する火災保険は「火災保険 賃貸」と検索するだけで調べることができます。管理会社が定めた火災保険とほぼ同等の補償内容の保険に、数千円で加入することが可能です。
鍵交換費用
鍵交換費用の負担は、賃貸物件のオーナーもしくは借主が負担することになるため、交渉を行えばオーナーに負担をしてもらえる可能性があります。
ハウスクリーニング
ハウスクリーニング代も同様に、賃貸物件のオーナーもしくは借主が負担することになるため、交渉を行えばオーナーに負担をしてもらえる可能性があります。
24時間安心サポート
24時間安心サポートも、必要なければ外すように交渉を行いましょう。

外せることはわかったけど、24時間安心サポートって外しても大丈夫なの?
実は、24時間安心サポートで保障される内容は、基本的に火災保険の補償内容でカバーされていることがほとんどを占めていますので、加入する必要性がない場合が多いです。
詳細は、加入する火災保険の内容をよく確認するようにしましょう。
どのように価格交渉するか

不動産屋や賃貸オーナー側のメリットを意識する
ただ単に「○○を値下げできますか?」と聞くのは、なかなか応じてくれない場合が多いです。そこで、相手側(不動産屋や賃貸オーナー)のメリットを意識した交渉を行いましょう。

つまりどういうこと??
ここで、不動産屋や賃貸オーナーにとっての利益と不利益はどのような要素か、改めて整理しましょう。
- 不動産屋
利 益:賃貸借契約の締結(担当者の成績獲得・仲介手数料の獲得)
不利益:賃貸借契約が獲得できない - 賃貸オーナー
利 益:部屋を借りてくれている状態(賃料が入手できる)
不利益:部屋が借りられていない状態(賃料が入手できない)
つまり、不動産屋と賃貸オーナーの両者にとって、借主が確実に契約してくれる状況は非常にありがたいものとなります。そのため、これを意識した交渉方法があります。例えば、
「火災保険は自分で加入、また、24時間安心サポートは必要ありませんので除外できるか管理会社におたずねいただけますか?さらに、仲介手数料を0.5か月分に減額いただければ、この物件に決めます。」
など、要求が通れば契約しますよ、ということを相手方に伝えてみましょう!
口頭が難しければメールで

交渉なんてしたことがないから緊張する…
そのようなときは、メールを使用しましょう。不動産屋の担当者に直接要望を伝える必要がない以外にも、メリットがいくつかあります。順番に見ていきましょう。
- 要望を一挙に羅列して提示することができる
- 要望が記録に残る
要望を一挙に羅列して提示することができる
価格交渉できる要素がいくつもありますので、それらを覚えて、いざ不動産屋へ行くことは難しいですよね。
そのような場合も、メールを使えば要望を漏れなく伝えることができます。
要望が記録に残る
物件選びが確定するタイミングは、賃貸借契約を締結した時となります。
その際、口頭では通っていた要望が、万が一契約書に落とし込まれていない状態で契約締結してしまった場合に、記録が残っていないので取り返しがつかずトラブルに発展する恐れがあります。
その点、メールを使用すると要望を提示した記録が残りますので、トラブル防止にも役立ちます。
深追いはせず、内容に満足できなければ次の不動産屋へ
狙っている物件が人気物件だったときや、3~4月などの繁忙期は、入居者の数が多いため価格交渉が通らない場面に遭遇することもあるでしょう。
その際は、値下げの深追いをするのではなく、新しい不動産屋に切り替えましょう。
不動産屋によって企業方針はもちろん、賃貸オーナー、物件管理会社への交渉力が異なるため、同じ物件でも同じ価格になるとは限りません。また、不動産屋にとっても値下げに応じることは義務ではありません。
粘ってもそれ以上値下げになる確率は低いので、その場合は次の不動産屋への見積もりを始めましょう。
【まとめ】

今回は、賃貸物件の契約にまつわる初期費用についてご紹介しました。
SUUMOによると、都市部の賃貸の初期費用の相場は家賃のおよそ4.5~5カ月分と称されています。
(家賃8万円とすると、約36~40万円!)
今回紹介した価格交渉のポイントをについて交渉し、上手く条件が合えば、数万円~十数万円を減額することが可能です。
成功のポイントは、ダメもとで交渉してみることです。無理な要求をしてもお互いに消耗していいことはありませんが、意外と通じる場合がありますので、ぜひ新生活を始める方は参考にしてみてください。
新生活は他にもお金がかかる要素がたくさんありますので、少しでも費用を抑えて、快適な生活を手に入れましょう!
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